「前よりよくなったね」
たったひとこと。
だけど、その言葉が胸にすっと染み込んで、涙が出そうになった。
人の目が怖かったあの頃
顔面神経麻痺を発症してすぐのころ、私は外に出るのが怖かった。
笑うことも、話すことも、視線を合わせることさえ、どこか苦しかった。
鏡を見るたびに「前の自分じゃない」と突きつけられているようで、
その現実から目を背けたくて、マスクとサングラスが心の鎧になっていた。
「誰にも会いたくない」と思っていた
そんな状態のときに、誰かに会うのは正直つらかった。
「何か言われたらどうしよう」
「気を遣わせたくない」
「無理に笑わなくちゃいけない」
そんな思考がぐるぐる回って、自分をますます閉じ込めていた。
鍼治療を続けてきたけど、実感はなかった
鍼に通い続けて、表情筋のリハビリもして、
それでも、鏡の中の私はずっと「途中のまま」だった。
他人から見たらどうかなんて、自分ではわからない。
「これ以上、よくなるのかな…」そんな不安がふとよぎることもあった。
そんなとき、ふいにかけられた言葉
久しぶりに会った友人に、こう言われた。
「あれ?なんか、前よりよくなってない?」
その瞬間、思考が止まった。
「え…そう見えるの?」
驚きと、嬉しさと、戸惑いと、いろんな感情がいっぺんに溢れてきた。
自分では気づけなかった「小さな前進」
ずっと変わってないと思っていたのは、自分だけだったのかもしれない。
少しだけ口角が上がるようになったこと。
まぶたの動きがスムーズになったこと。
毎日の積み重ねの中で、「変化」は確かに起きていた。
たったひとことが支えになることもある
その友人は、深い意味もなく言ったのかもしれない。
でも、私にとっては、回復の証を誰かが認めてくれたような気がした。
他人の言葉が、こんなにも励みになるとは思わなかった。
「治ってきてるんだよ」って、背中をそっと押されたような気がした。
私は、少しずつでも変わってる
今も、完治とは言えない。
それでも、誰かの目に「よくなってる」と映った。
その事実が、私にとっては大きな希望だった。
これからも、焦らず、少しずつ。
自分では気づけない変化を信じて、私は今日も前を向く。
コメント