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「大丈夫だよ」って言われた。それだけで、涙が出そうになった。
顔の麻痺が出てから、私は人と話すのがとても怖くなった。
口元がうまく動かず、言葉がはっきりしない。
マスクの奥に隠れた表情の違和感が、誰かに気づかれるのが怖くて。
「どう思われるだろう」
「変だって思われたらどうしよう」
そんなことばかり考えていた私は、いつの間にか人と話すことを避けるようになっていました。
でも、話してみたら、伝わった。
勇気を出して話したとき、返ってきたのは想像していた反応とは違っていました。
「え? 全然わからなかったよ」「大丈夫、ちゃんと伝わってるよ」
その言葉に、思わず涙が出そうになりました。
私はずっと、自分のことを“隠さなきゃいけない存在”だと思っていた。
でも、少しずつ自分の状態を話すことで、「そのままで大丈夫なんだ」と思える瞬間が増えてきた気がします。
「話すこと」は、「自分を許すこと」だった。
ずっと抱えていた違和感。
「なんで自分がこんな目に」「もっと普通に笑いたい」
その思いは今でもあるけれど、誰かに打ち明けて、受け入れてもらえるたびに、
ほんの少しずつ、自分を許せるようになってきました。
「こんな自分でもいいのかもしれない」
そう思えるようになるまでに、時間はかかったけど。
伝えるって、怖い。でも、救われる。
怖くて黙っていたときは、何も変わらなかった。
でも、自分のことを少しでも伝えると、心の中が軽くなる。
その経験を、私は忘れたくない。
もしかしたら、また怖くなるときもあると思う。
でも今は、「伝えてよかった」と心から思える。
そしてまた今日も、私は一歩だけ前へ進めた気がしています。
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