『「あの日、もう一度だけ話してみよう」と思えた。それが、少しだけ未来を変えてくれた。』

「もう人と話したくないな…」

そんな気持ちになったのは、顔の麻痺がはじまってすぐのこと。

うまく動かない口元、ぎこちない表情。

それを見られるのが怖くて、できるだけ人と距離を置くようになった。

目次

マスクで隠しても、自信は戻らなかった

表情を隠すために、マスクは手放せなかった。

薄い色のサングラスも、視線を隠すための防具。

「これで大丈夫」と自分に言い聞かせても、

話そうとすると、どうしても声が小さくなる。

自信を失っていたのは、顔ではなく、心のほうだったのかもしれない。

それでも、話してみようと思えた日

ある日、ふとした拍子に、

「もう一度だけ、話してみようかな」と思った。

特別な理由があったわけじゃない。

でも、なぜかそのときは、

ちょっとだけ勇気が湧いてきた。

話せた。それだけで、泣きたくなるほど嬉しかった

ゆっくり、言葉を選びながら話した。

相手は驚くでもなく、否定するでもなく、

普通に、ちゃんと聞いてくれた。

その反応が、どれだけ嬉しかったか。

うまく話せなくても、伝えようとすることを受け止めてもらえる。

——それだけで、心が少しだけ軽くなった。

話すことが怖い。でも、話すことで救われた

怖い気持ちは、今でもある。

でも、

「伝えようとする自分」を、自分自身がちゃんと認めてあげよう。

相手の反応がどうであれ、

話すという行動自体に、意味がある。

“また話してみよう” そう思えた、私の小さな転機

あの日話した一言が、

今の私にとっての「未来への一歩」になった。

完璧じゃなくてもいい。

ちゃんと伝わらなくてもいい。

でも私は、これからも自分の声で想いを伝えていきたい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次