顔面神経麻痺になってからというもの、人と話すことが怖くなっていた。
うまく伝わらない、表情がうまく作れない、自分の声が変に聞こえる気がして…。
だから、なるべく話さないようにしていたし、無理に話すときも笑顔のフリでごまかしていた。
でも、ある日、どうしても避けられない会話の場面があって、
勇気を振り絞って話してみた。
すると、相手がこう言ってくれた。
「全然気にしなくて大丈夫だよ。あなたの話、ちゃんと届いてるよ。」
…涙が出そうになった。
その言葉は、ただの気遣いだったのかもしれない。
でも、私にとっては「ああ、話してよかったんだ」と心から思える瞬間だった。
目次
■ 言葉の力って、すごい
誰かのひと言が、こんなにも自分を救ってくれるんだと実感した。
沈んでいた気持ちが、少しだけ軽くなった。
もう一歩踏み出してみようかなって、思えるようになった。
それからは、ほんの少しだけ勇気が出せるようになった。
■ 自分の中の変化に気づけたこと
話しかけることも、話しかけられることも、
「どうせ伝わらない」と思い込んでいた自分。
でも、あの日の「伝わった」という実感が、私の中に希望の種を植えてくれた。
それはまだ小さな変化かもしれない。
でも、その小さな変化が、私にとってはとても大きな一歩だった。
■ あの言葉が、今でも支えてくれている
顔面神経麻痺という症状は、外見だけでなく心にも大きな影を落とす。
けれど、そんな私を見て、
「あなたの話、ちゃんと届いてるよ」と声をかけてくれたあの人の言葉は、
今でも私の心の奥に残っている。
たった一言でも、人を前に進ませる力がある。
あの瞬間、「話してよかった」そう思えたことで、
私は少しずつ、自分を許せるようになった。
これからもきっと、ゆっくりでもいいから、
前へ進んでいこうと思う。
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